Hitoe® Fold 開発秘話
Hitoe® Fold「小さい薄い財布の先駆者」
2021年にデザインを一新し、その役割を終えた初代Hitoe® Fold。写真は2019年に製品発表時の初期試作品です。私たちにとって大変思い入れのある製品で、そのエポックメイキングな役割を振り返りたいと思います。
薄い財布とミニ財布の歴史
皆様からの情報と調査を基に、初代Hitoe® Fold(2019.11)以前に登場した、カードとコインが重ならない「薄い財布」や「ミニ財布」を以下にまとめました。
- 2008.07: サルトーレ・ワレット(サルトーレ)
- 2009.12: 薄い財布(バリューイノベーション)
- 2017.01: コモド(ULYSSES)
- 2018.06: Hitoe® L-zip S(SYRINX)
- 2018.11: Piastra(エムピウ)
- 2019.09: Jitan(JACAJACA)
- 2019.11: Hitoe® Fold(SYRINX)
これらはすべて薄さを特徴とする財布ですが、カードをクレジットサイズに限定し、明確に「小さい」も目指した薄い財布は、Hitoe® Foldが初めてでした。
Hitoe® Fold開発の背景
Hitoe® Foldの開発は、キャッシュレス時代において「できるだけ小さく、そして薄い財布」を求める多くのユーザーからの声を受けて、2018年にスタートしました。
携帯性や収納性を重視する中で、財布に求められるのは単に「収納量」ではなく、使用頻度が高いカードや少額の現金がコンパクトに収納できる利便性です。SYRINXは、これらのニーズに応えるため、従来の財布の概念を見直し、必要最小限の収納力と極限まで薄くすることを目指しました。
しかし、カードの取り出しやすさや落下防止など、いくつかの課題が解決できず、長く製品化できずにいました。
そして、2019年夏、ついにインナーフックという革新的なアイデアを思いつきました。カードの落下防止、金物レス、スムーズな操作性、ミニマルなデザインを同時に叶える新発想です。
試作と開発のプロセス
最初の試作はインナーフックのアイデアを閃いたその日のうちに完成しました。SYRINXでは、重要なプロジェクトは、知的財産を守るために外部に漏らさず、内部で試作します。
試作は精密に作図し、レーザーカッターで革を切断、縫製します。外注しないことで、このプロセスを迅速に繰り返し、改良を重ねつつ量産上の課題を明確にします。そして2019年10月には意匠登録を出願し、11月の特許出願と同日に製品発表を行いました。
試作品の公開と大きな反響
製品発表で公開された試作品の写真は、まだ開発途中であったにもかかわらず、そのミニマルなデザインは、多くの共感を呼び、特にミニマリストやデザイン愛好家から支持を集めました。
クラウドファンディング前に開催したモニター販売は、数秒で完売。こうした反響はさらなる改良の原動力となりました。
クラウドファンディングとコロナ禍
2020年2月に開始したクラウドファンディングでは、開始わずか3分で1,000万円超の記録的なスタートを切りました。
しかし、クラウドファンディングの開始直後からコロナ禍が深刻化し、国際的な物流がほぼ停止状態に。いち早く、ほぼすべての国内在庫を手配しましたが、それ以後のイタリアからの革の入荷目処は不明でした。
そのため、確実に生産可能な3500個・18日間でクラウドファンディングを途中終了。80日間の予定を全うすることはできませんでしたが、皆様のご支援により、財布のプロジェクトで国内最高額を達成し、その年の1万以上のプロジェクトの中からCAMPFIRE Crowdfunding Awardに選出いただきました。
新ジャンル「小さい薄い財布」の誕生
初代Hitoe® Foldが大きな反響を呼んだ結果、数ヶ月の期間を経て、同様の構造を持つ類似品が次々と市場に登場し、「小さい薄い財布」という新しいジャンルが生まれました。
しかし、初代Hitoe® Foldの支援額を超えた二つ折り財布は、同シリーズのHitoe® Fold Ariaと新Hitoe® Fold v.2021のみ。今日に至るまで、Hitoe® Foldシリーズが国内支援額1位〜3位を独占し続けています(※2024.09.30時点、自社調べ)。
世界に誇るデザイン
Hitoe® Foldシリーズは、世界三大デザインアワードであるiF Design Award、Red Dot Award、IDEAをはじめ、19個の世界の主要なデザイン賞を受賞しています。
Hitoe® Foldの挑戦は続く
Hitoe® Foldの挑戦は終わりません。
さらなる改良や、新素材の探求を続け、ミニマリストのライフスタイルに最適な製品を提供し続けます。
これからも続く挑戦を、ぜひご注目ください。