記事: Caran d'Ache エクリドールと849 ボールペン
Caran d'Ache エクリドールと849 ボールペン
奥のシルバーのペンは、ヴィンテージのCaran d'Ache エクリドール。
鉛筆を模したシンプルなデザイン。しっかりとした重量感と耐久性。
そして、特筆すべきは高級感のある静かで滑らかなノック。ノック式のペンにありがちな安っぽさはありません。
時々、打ち合わせ先で試し書きしてもらうと、多くの人が、これまで経験のない滑らかな書き味に驚きます。
このエクリドールは、クリップ形状や刻印から判断すると1970-80年代ぐらいの最初期モデルになります。約50年、故障知らずで活躍中です。
手前はその普及モデルの849。エクリドールの数分の一の価格で、同様の書き味・ノック感覚を愉しめます。
両者の大きな違いの一つはクリップ形状。
エクリドールの座金が軸の1面からはみ出さずに固定されているのに対し、849は座金は5面にまたがって固定されています。そのためHasamu A4に装着する時は、エクリドールはスムーズに入りますが、849は座金が少し引っかかります。
849のクリップ位置は、エクリドールより少し位置が低く、Hasamu A4に装着すると、頭の飛び出しが大きく、その頭に「SWISS MADE」のロゴが目立ちます。ブランドロゴはクリップ下に隠しながら、少し勿体無い。筆記時にもクリップが手にあたりやすいですが、ペンホルダーから引き出す際には、頭の部分が残っているのは役立ちます。
849のクリップは長めですが、Hasamu A4のペンホルダーにピッタリ納まります。
ボディは、エクリドールは彫り込まれた真鍮ボディに銀メッキ。849はアルミボディの塗装仕上げ。
真鍮の方が、剛性があり、ずしりと重く、書き味も高級感があります。しかし、849も適度な重量感で、肉厚の素材感や塗装の質感は高い。
どちらも通常のペンと異なり、キャップ部分も分離せず、ボディは単体のパーツで出来ています。がたつきなどが発生しにくい構造です。
エクリドールのペン先は薄く削られ、ボディとペン先が連続し、一体感があります。(ただし、これは古いモデルの特徴で、現行モデルは太くなっています)849の先端は丁寧にR加工されています。細部に至るまで完成度が高く、隙がありません。
このペンをお薦めする理由は、デザインや機能性だけではありません。その芯「ゴリアット」も大きな要素です。
この芯の素晴らしいのが、大容量のインク。筆記距離はなんと8000m。毎日2mの筆記でも10年以上交換の必要がありません。替え芯は高価ですが、交換頻度が極端に少なく、コストパフォーマンスは非常に優れています。
そして、その筆記距離を支える技術も素晴らしい。ペン先は鋼の2倍の剛性のタングステンカーバイド。モース硬度9の硬さを誇り、ロングライフを支えています。ボールにインクを送る溝は6本もあり、長年使用しても、かすれることがありません。
使いたい時にインクが出ないストレスと無縁で、筆記に集中できます。
太さは、F(細字)M(中字)B(太字)がありますが、お勧めはB芯。その超絶な滑らかさを、是非ご体感下さい。
ペン本体は安価ではありませんが、このゴリアット芯も含む価格なので、そう考えると、決して高価ではありません。
ただ残念なのが、付属するリフィルの太さを選べないこと。好きな芯を選べるように、価格を抑えた本体単体販売が望まれます。
Hasamu A4は、手で描き、そのフィードバックをダイレクトに得て、アイデアを広げるアナログツール。
ペンの書き心地は、そのアナログな感覚の肝となります。
エクリドールと849は、Hasamu A4を究極のアナログツールにするために、最もお勧めできる2本です。