「小さな薄い財布」の系譜

2021年にデザインを一新し、その役割を終えた初代Hitoe Fold。
(写真は2019.11の製品発表時の初期試作品)
私たちにとって大変思い入れのある製品です。この機に初代Hitoe Foldが果たしたエポックメイキングな役割を振り返ります。
詳しい調査と皆様からの情報提供により、カードとコインが重ならないタイプの財布は、Hitoe Fold(2019.11)以前に弊社を除いて5製品を発見しています。(※長財布を除く)
2008.07 サルトーレ・ワレット(サルトーレ)
2009.12 薄い財布(バリューイノベーション)
2017.01 コモド(ULYSSES)
2018.06 Hitoe L-zip S(SYRINX)
2018.11 Piastra(エムピウ)
2019.09 Jitan(JACAJACA)
いずれも薄さを特徴とする財布です。
しかし、カードポケットに名刺も入るなど「小さい」を明確に目指したものではありませんでした。
そして2019年11月、インナーフックの特許出願を終え、ミニマルなデザインを徹底した「小さな薄い財布 Hitoe Fold」を発表。
その価値を世に問うために行ったクラウドファンディングでは、開始わずか3分で1,000万円超という記録を達成。さらに、国内最高額(51,795,439円)の記録しながらも、コロナの影響で革の安定輸入が見通せず、止むなく18日間・3500個で早期終了(当初80日予定)。その後、公式サイトでの予約待ちは、最大で1年半にまで達しました。
このように初代Hitoe Foldが大きな反響と話題を呼んだことで、「薄い財布」から「小さな薄い財布」に市場のトレンドが一変します。
11月の発表から数ヶ月の空白期間を経て、突如、複数の会社から同類の「小さな薄い財布」が登場しはじめます。Hitoe Foldの特徴である立体的なマチを備え、カードポケットはクレジットカードジャストサイズ。コインポケットにショートフラップまで採用したものも多数あります。
しかし、これまで(※2022.02.28時点)にHitoe Foldのクラウドファンディングの記録を超えた財布は、Hitoe Fold Aria(7,854万円)とHitoe Fold v.2021(5,548万円)のみ。
初代Hitoe Foldは、「小さな薄い財布」の系譜を、開くと同時に完成させた存在であったと言えます。